はじめて見る警告文が出て、InDesignが全く操作できなくなると、とても不安になりますよね。しかも入稿日が近いと、どうしていいのか焦ってしまう方も多いと思います。
「モーダルダイアログがアクティブ」という表示が出て、ファイルは開けるのに何も操作できない…というケースは、実は同じような相談がいくつも寄せられている現象なんです。
中には「Wi-Fiを切ったら直った」「有線とWi-Fiどちらも切ったら使えた」という声もあるため、原因はいくつかのポイントに絞られてきます。この記事では、落ち着いて試せる手順をまとめました。是非参考にしてみて下さいね。
InDesignが編集できないときに起きている現象
ちょっとしたサインを知っておくと状況を整理しやすくなります。
表示されるメッセージの意味
モーダルダイアログとは、アプリが「何かの確認待ち」の状態を示すサインで、InDesignが次の動作へ進む前に“何かを閉じてほしい・返事をしてほしい”と待っている状態です。
本来であれば画面の中央などにメッセージが表示されるのですが、別のウィンドウの裏に隠れてしまったり、画面の端に小さく出て気づきにくいこともあります。
特に作業を続けていてウィンドウをいくつも開いている場合は、警告が画面の陰に隠れて見つけづらくなることがあるんですよ。
操作が止まってしまう典型的なケース
ウィンドウ同士が重なって警告が後ろに回ってしまったり、起動時のチェックが中断されることでInDesignが混乱してしまうことがあります。
また、警告ウィンドウが画面外に押し出されてしまうケースもあり、見えていないのに「先へ進めない」という状況が起こりやすくなります。
普段複数モニターで作業している方やウィンドウを移動させることが多い方ほど、この現象が発生しやすいようです。
今回の状況との共通点
今回のように、ファイル自体は問題なく開けるのに、編集ができない・終了できなくなるケースは、まさにモーダルダイアログが関係している典型例です。
しかも、ひとつの原因ではなく、ネットワークや設定、ウィンドウ位置などが複数組み合わさって起きることもあります。
そのため、どれか一つだけを疑うより、いくつかの可能性を順番に見ていくことで、原因がより見つかりやすくなります。
まず試してほしい基本チェック
すぐできる確認をまとめました。
別のファイルで同じ症状が出るか
同じ動作になる場合は、アプリ側の問題の可能性が高くなりますが、もう一歩踏み込んで、保存場所や開き方も確認してみると原因を切り分けやすくなります。
たとえば、外付けSSDやクラウド保存のファイルだと読み込みが遅れ、同じ症状に見えることもあります。いったんデスクトップへコピーし、そこから開いてみるのも良いチェックのひとつです。
また、別ファイルが開ける場合でも、起動直後の処理に時間が掛かっていただけというケースもあるため、ファイル切り替えのタイミングも見てみるとより判断しやすくなります。
InDesignをいったん終了して再起動
普段どおり閉じられないときは、Finderの「強制終了」ではなく通常の終了ができるかチェックします。
通常終了ができた場合は、アプリが正しく動作を区切れた証拠になるため、再起動後に改善するケースが多いんです。
もし通常終了ができない場合でも、いったん数秒待つことでアプリが内部処理を終えることもあります。
また、終了前に他アプリを閉じておくと負荷が下がり、スムーズに落とせることもありますので、ひと呼吸おいて試してみるのもおすすめです。
Mac本体の再起動
一度電源を切ることで、動作がリセットされる場合があります。システム側で溜まったキャッシュが原因で動作が重くなっていることもあるため、再起動はとても有効な方法です。
特にOSアップデート後は挙動が安定しにくいことがあり、ちょっとした引っかかりがInDesignの動作にも影響することがあります。
再起動後はメモリ状態が整うため、アプリの動作が軽くなるケースも多く、最初に試すべき対処法としてとても便利ですよ。
ネットワーク接続が干渉しているケース(もっとも報告が多い原因)
数名のユーザーが実際に試して改善した方法です。
なぜネットワークが関係するの?
InDesignは起動するたびに、クラウド上の設定やライセンス情報を静かにチェックしています。
この確認作業は普段は一瞬で終わるのですが、ネットワークの状態が不安定だったり、通信が詰まってしまうと、アプリが“次に進む準備ができない”状態で止まってしまうことがあります。すると、モーダルダイアログが開いたまま処理が止まったように見え、結果として操作を受け付けない状況が生まれるんです。
また、クラウドフォントやライブラリを読み込もうとして途中で止まるケースもあり、通信環境の影響は意外と大きいです。
特にWi-Fiと有線が両方有効になっている環境や、ネットワークの切り替えが発生しているMacでは、このような状態が起こりやすくなることがあります。
実際に改善した例
「Wi-Fiを切ったら動いた」
「Wi-Fiと有線を両方切って起動したら使えた」
といった声が複数寄せられていますが、これはInDesignがネットワークアクセスを一時的にやめることで、起動処理がスムーズに完了できた可能性が高いからです。
ネットワークを遮断することで、InDesignがクラウド周りの情報を読み込むのをいったんスキップし、アプリ本体の起動に集中できるようになるため、結果として固まっていた処理が解放される、という流れです。
同じ方法で改善した報告が多いのは、この仕組みが関係していると考えられます。
ネットワークをオフにする手順(Mac)
- 画面右上のWi-Fiアイコンをクリックしてオフにする。
- 有線接続している場合はケーブルも一度外す。
- その状態でInDesignを起動し、動作が変わるか確認する。
- 正常に動き出したら、作業への影響がないタイミングでネットワークをオンに戻す。
- もし再度同じ症状が出る場合は、起動前のみネットワークを切る方法を続けてみると安定しやすいことがあります。
モーダルダイアログの隠れ表示が原因の場合
小さなウィンドウが裏側に潜んでいることがあります。
警告ウィンドウが裏に回ることがある
InDesignは時々、確認画面がほかのウィンドウの後ろに隠れてしまうことがあります。特に作業中に複数のアプリを同時に立ち上げていたり、ウィンドウを移動しながら作業していると、警告ウィンドウが別の画面の影に隠れてしまい、まるで何も表示されていないように見えてしまうことがあるんです。
さらに、サブモニターをつないだり外したりした直後は、ウィンドウの位置情報がずれて画面外に配置されてしまうこともあり、本人の目にはまったく見えないのにアプリ側は「返事待ち」の状態ということが起こりやすくなります。
そうなるとInDesignは先へ進めず、編集も終了もできない“待ち状態”のまま止まってしまうんですね。
Mission Controlで探す方法
Macのトラックパッド3本指上スワイプで全画面表示が確認できます。この画面では開いているすべてのウィンドウが一覧で並ぶため、小さな確認ダイアログや警告ウィンドウがどこかに紛れ込んでいないかチェックしやすくなります。
もし隅のほうに小さく開いているウィンドウを見つけたら、それをクリックして閉じてあげることでInDesignが止まっていた処理を再開できることがあります。
また、複数デスクトップを使っている場合は、左右にスワイプして別スペースの中も確認してみると、思わぬところに警告が潜んでいることもありますよ。
環境設定ファイルの不具合
設定が壊れると、操作ができなくなることもあります。
設定リセットで改善することがある
InDesignの環境設定は、日々の作業の中で少しずつ蓄積されていく仕組みになっています。そのため、長く使っていると設定ファイルの一部が壊れてしまったり、過去のアップデート情報が残って動作に影響することがあるんです。
こうした“不具合の種”が原因で、起動時にアプリが正しく読み込めず固まってしまうケースが少なくありません。
そこで試してみたいのが、環境設定のリセットです。InDesignを起動するときに「Shift+Option+Command+Control」を同時に押しながら開くと、内部の設定ファイルを初期状態に戻すことができます。
少し特殊な操作ですが、壊れている可能性がある設定を一括で整理できるため、症状が改善することも多いです。
アプリの動きが突然重くなったり、特定のウィンドウが開かなくなるといった“謎の不調”にも有効な手段のひとつです。
注意点
初期化されるため、設定が元に戻る場合があります。
また、作業環境に合わせて細かくカスタマイズしていた場合は、再度設定し直す必要が出てくることもあります。
ただ、その分アプリがスッキリとクリーンな状態になり、原因不明の動作不良が収まるケースも多いため、試してみる価値は十分にありますよ。
フォントやプラグインの読み込みエラー
起動直後に固まる原因として多いパターンです。
フォントチェック
大量のフォントや壊れたフォントがあると、InDesignが読み込みで止まることがあります。
特に、長年使っているMacには思いのほか多くのフォントが積み重なっていることがあり、その中に古いフォーマットのものや重複したフォントが混ざっていると、読み込みでつまずきやすくなります。
また、クラウド系フォントとローカルフォントが同時に読み込まれる環境では、通信状況が影響して処理が遅れるケースもあります。
フォントブックで不要なフォントを無効化したり、一時的に外して整理してみるだけでも、起動時の負担が軽くなることがありますよ。
プラグインの一時的な切り離し
追加プラグインを使っている場合は、一度外してから起動してみる方法があります。プラグインは便利な一方で、アップデート後に互換性が合わなくなることもあり、その影響でInDesignが起動時に止まってしまうことがあるんです。
特に、古いバージョンのプラグインが残ったままになっていたり、複数のプラグインが競合している場合は要注意。
一度プラグインのフォルダをデスクトップなどに退避してから起動し、症状が改善するかを確認することで、原因の切り分けがしやすくなります。改善した場合は、プラグインを一つずつ戻していくと、どれが影響していたのか自然と見えてきますよ。
ファイルの保存先やパスの問題
保存場所がネットワークの場合、読み込みが遅れて止まることがあります。
ローカル保存で開く
デスクトップに一度コピーしてから開くと改善する場合があります。特に、ネットワークドライブやクラウド上に保存しているデータは、通信状況に左右されやすく、InDesignが読み込みの途中で止まってしまうケースが意外と多いです。
ローカル環境に移すことで読み込みの負担が軽くなり、処理がスムーズに進みやすくなります。また、外付けドライブに保存している場合も一度Mac本体にコピーすることで反応が変わることがあります。
保存場所を変えるだけで動きが改善することもあるため、困ったときの手軽なチェックとしてとてもおすすめですよ。
ファイル名の確認
特殊文字が入っていないかチェックしてみてください。特に、環境依存の絵文字や記号、スペースの扱いが違う文字などが混ざっていると、InDesignが正しくパスを判別できず動作が止まることがあります。
ファイル名が長すぎる場合や、フォルダ構造が複雑すぎる場合にも読み込みが遅くなることがあるため、「英数字+シンプルな記号」程度の名前に変更すると改善することがあります。
ファイル名を整えるだけでも読み込みの安定につながりますので、気になる場合は一度確認してみてくださいね。
書き出しができないときのチェック
書き出しウィンドウが裏で止まってしまうケースもあります。
別名保存を試す
「Shift+Command+S」で別名保存できるか確認します。別名保存は、通常の書き出しが反応しないときでも動作する場合があり、ファイルを新しい状態として保存し直すことで、内部の処理がリセットされるように動き出すことがあります。
また、保存先をデスクトップなどのシンプルな場所に変更することで、パスの問題が解消され、途中で止まっていた処理がスムーズに進むケースもあります。
保存フォーマットを変えたり、別のバージョン番号を付けて保存するのも効果的で、問題の切り分けにとても役立ちますよ。
特に、作業中にファイルが重くなったり、書き出しウィンドウが反応しなくなる場合は、一度別名保存を試してみるだけで状況が改善することもあります。
パッケージ作成を試す
書き出しができないときでも、パッケージだけは作成できる場合があります。パッケージ作成は、フォント・リンク画像・idmlファイルをまとめてフォルダ化する機能のため、通常の書き出し機能とは別の手順で動く仕組みになっています。
そのため、書き出しウィンドウが固まってしまっているときでも、パッケージ化だけは動くというケースが多いんです。
パッケージ作成が成功した場合は、その中に生成されるidmlファイルを開き直すことで、壊れた可能性のあるデータが修復され、編集が再開できることもあります。書き出しトラブル時の“逃げ道”として、とても頼れる方法なんですよ。
Mac環境ならではのポイント(M4・Sequoia)
最新OSはアップデート直後に動きが安定しないことがあります。
OS更新後の挙動
キャッシュ処理が落ち着くまで、アプリの動きが重く感じる場合があります。特にOSを更新した直後は、システム全体が内部の最適化処理を行っていることが多く、アプリが本来のスピードで動けない状態になることがあります。
バックグラウンドでフォントキャッシュやサムネイルの再構築が進んでいたり、アプリ間の連携データを読み直している最中だったりと、見えないところで多くの整理が行われているんですね。
そのため、普段ならサッと開くInDesignが少しもたついたり、起動時の確認処理が遅れてしまうことがあり、一時的に“重くなったように感じる”という状態につながりやすくなります。
数時間〜1日ほど使っているうちに落ち着いてくることが多いため、更新直後は少し時間をおいて様子を見るのもひとつの方法です。
Rosettaの有無
Intel版アプリを動かす環境とは少し挙動が異なります。Rosettaを利用してアプリを動かしている場合、変換処理が入ることで起動や読み込みが遅くなることがあります。
また、MシリーズのMacではネイティブ対応しているアプリとそうでないアプリの挙動に差が出やすく、InDesignがその影響を受けることもあります。同じバージョンのInDesignでも、環境によって動きが変わるのはこのためなんです。
もしRosetta使用時に不調が続く場合は、アプリの対応状況を確認したり、インストールし直すことで改善することもあります。
最終手段:再インストール
どうしても直らないときに試す方法です。
再インストール前にすること
設定のバックアップとクラウドファイルの確認をしておきます。特に、これまで制作してきたデータや環境設定が失われてしまうと、再インストール後に作業を再開するまで時間がかかってしまうことがあります。
クラウド同期がオンになっている場合は、Creative Cloudに反映されているかを事前にチェックし、必要であればローカルにも複製を残しておくと安心です。
また、普段使用しているフォントやカラープロファイル、スクリプトなども、あとから同じ環境に戻すためにメモを残したり、専用フォルダごと保管しておくとスムーズですよ。
こうした準備をしておくことで、再インストール後の作業復旧がぐっとラクになります。
Creative Cloudから再インストール
アプリ一覧からInDesignだけを削除して再インストールできます。削除といっても、Creative Cloud経由の操作であれば関連ファイルやライセンス情報は保持されたまま進むため、必要以上に心配する必要はありません。
再インストールを行うことで、壊れていた可能性のあるアプリ本体のファイルが新しく置き換わり、動作が一気に安定することもよくあります。
また、再インストール時には最新バージョンが適用されるため、既知の不具合が解消されているケースもあり、結果的に以前より快適に使えるようになることもあります。
もし不安な場合は、一度ログアウトしてから再インストールする方法も試すと、認証周りがリフレッシュされやすくなります。
よくある質問(Q&A)
Q1:Wi-Fiを切ったあと戻しても大丈夫?
使えるようになった後は、通常どおりオンに戻して構いません。
Q2:データが壊れている可能性はある?
複数のファイルで同じ症状なら、データよりアプリ側の問題が濃厚です。
Q3:OSとの相性が原因のことはある?
OS更新直後はアプリ側が追いつかず不安定になることがあります。
Q4:他のAdobeアプリは動くのにInDesignだけ固まるのはなぜ?
読み込んでいる設定ファイルやフォントが異なるためです。
Q5:バックアップがなくても復旧できる?
多くの場合、アプリの起動修正で復旧が可能です。
まとめ
InDesignが突然操作できなくなると、本当に驚いてしまいますし、特に入稿前のように時間が限られている場面では、どうしてよいのか分からず心細くなってしまいますよね。
今回ご紹介したように「Wi-Fiをオフにしたら動き出した」という声が複数寄せられていることからも、まずはネットワーク周りの設定を軽く見直してみることが、最初の一歩としてとても取り組みやすい方法になります。
また、警告ウィンドウがどこかに隠れていないか探したり、環境設定のリセットを試してみることで、動作が改善するケースも意外と多いんですよ。こうした作業は難しいものではなく、ひとつずつ落ち着いて進めていけば、原因が少しずつ整理されていきますし、自分でも対応できるポイントが見つかりやすくなります。
焦る気持ちがあるときこそ、ゆっくり順番に取り組むことが大切です。復旧できる可能性は十分ありますので、今日の作業が少しでもスムーズに進み、自信を持って作業を再開できるお手伝いになれたら嬉しいです。

